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平成24年7月度・月報

18.原子力発電政策へのズバリ提言
ー新エネルギー源に立脚してー


<原子力から脱却せよ!>

 この8月末を目処に政府は新しいエネルギー政策を決めるということで、
 <2030年での原子力発電依存比率>
を検討対象として提示している。この状況に対して、以下の意見を編集子の知人である「憂国の士」より
頂戴したので、その内容を世に問いたい。

原子力発電の将来方針に関する意見

基本方針・その1 今後の原子力発電所の新設や増設は行わない。また認めない。
         また、建設中の原子力発電所の建設は停止する。
   
   (補足説明)いかなる状況であろうと、原子力発電を今後とも日本での永続的エネルギー供給手段として
         認知することはできない。当該基本方針を決めれば今後の方針の全ては決定されると言っても
         過言ではない。

基本方針・その2 2040年を目途として原子力発電依存をゼロとする。

   (補足説明)原子力発電所の寿命を40年とするか、50年とするか、また休止期間をどう算定するか明確で
         ないが、仮に休止期間を勘案しても、2040年時点で過半の原子力発電所は40年を越え、残りの
         原子力発電所の稼動可能年数もそう長くはない。
         現在政府が原子力発電所の将来対処方針として、2030年の原子力発電依存比率を問うているが、
         2030年では代替エネルギーの開発は未だ不十分で、原子力発電依存の必要性が残らざるを得ず、
         かつ、2030年以降の内容を曖昧にしているため、当該2030年を区切っての検討は、現行の
         原子力発電体制温存を意図している原子力発電推進およびその組織温存派の謀略作戦と
         言わざるを得ない。検討対象を2040年時点とすべきである。
         (註)現職外務大臣は2040年原子力発電ゼロ構想を打ち出している。
           (2012年7月22日朝日新聞報道)

基本方針・その3 2040年までに水力を含む自然エネルギーによる電力供給に必要な施策を最大限実施し、その開発
         進度を勘案しながら、地球温暖化対策を後退させることなく、節電効果も合わせて、原子力発電
         依存を漸減させ、2040年を目途に原子力発電依存をゼロに到達させる。

   (補足説明)地球温暖化対策を後退させない。自然エネルギーと節電が充分にその役割を果たすまで、最小限
         必要な原子力発電可動は当面継続する。その必要最小限の稼動程度は、政府機関の適切な判断に
         より決定する。

基本方針・その4 今後の原子力発電所稼動は最大30年前後となるので、核燃料サイクルに関わる国の従来方針は
         全て撤回することとする。従い、核燃料サイクルに関わるすべての開発や推進事業は中止する。

基本方針・その5 現在及び今後発生する使用済み核燃料処理は地中埋設処理を基本として、2040年を目処に
         その方策の開発や事業化を完成させる。

   (補足説明)福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉の原子力発電施設「もんじゅ」や
         六カ所村の核燃料処理施設、ウラン核燃料開発および関連の開発・推進事業、研究機関などは、
         使用済み核燃料の地中埋設処理に関わる研究開発および推進事業以外は全て廃止する。
 
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<編集子のコメント>

 平成社会の庶民環境を課題に取り上げている当該ホームページ<平成の迷想録>シリーズでは、丁度10年前の
平成14年9月に「人間の英知の限界」と題して原子力発電所内原子炉の割れの問題を取り上げ、原子力発電に警告は発した。
 それから9年後の昨年三月、「東日本大震災」により、東京電力福島第一発電所の地震による津波の大災害が
発生した。これらの天災にして人災の事態に我々日本民族は、その命運を問われ、この東海の海洋に日本列島が
沈没しかねない事態に陥っている。
 我々日本民族は何と不幸なことだろう。
 去る67年前には、人類初の原子力爆弾の犠牲になり、放射能の恐怖にさらされ、それからわずかに、66年後いままた
原子力発電施設の破壊による放射能の恐怖下におかれてしまった。わずかな期間に日本民族だけが、人類始まって
以来の危機にたたされている。先の原子力爆弾の後遺症が未だに充分癒されていないのに、またその上に、不幸が
かぶさってきたのだ。

 1945年の原子力爆弾から、今度は「平和利用」のお題目のもとに、発電事業に原子力の力を借りて、50年弱、
未だに原子力を制御できず、持て余していると見なされてもやむなしの状況である。
 知人の「憂国の士」の発言は、それに答えようとしたものであろう。

 それに関係して、編集子が付言したいのは、次の二。三点である。
 (1)現状の電力使用量を前提として、「足る」「足らない」と言い合っているのは、どうか。
    原子爆弾で敗戦に至った時点の社会状態に戻れとは言わないが、電力を社会全体が見直す時期である。
    単純な「節電」では、検討不十分。
    国民ひとりひとり、50年前の状況を考えよ。なにをしていたか。今はあまりにも怠惰なエゴでないか。
 (2)自給自足の電力体制をめざすべきではないか。可能な限りの分散電源の検討である。加えて電力供給体制の
    問題点の整理。自然エネルギーを基本にして。
 (3)この際、国内電力構成統一(50サイクルと60サイクル)と端末電力の国際化(100Vから200Vへ)。
    40年ほど前の政府の旗振り「サンシャイン計画」「ムーンライト計画」とその事業展開は、一体どう
    結論づけたのか。喉元すぎれば、忘れてしまう。(原子力発電で安心してしまったか)
    

*** 平成24年7月27日(「第30回ロンドンオリンピック開催の日」に)
 ***産業部技術顧問・錦生如雪


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