まえがき (その1)いも料理といも加工品 (その2)「いも飴 」あれこれ (参考)「さつまいも」文芸・芸能世界 |
「さつまいも」はコロンブスが1492年にアメリカ大陸発見後、スペインに持ち帰り、 イザベラ女王に献上し、その後、世界各地に伝播したとされるが、そのルートは原産地である 南米から三方向に伝播していったという。それらのうち日本へは、中国経由、あるいは フィリピン経由、伝来した歴史が辿れる。 (参考として、そのルートを辿り、「さつまいも<伝来歌>を作製しました。) 日本へやってきた食物としての「さつまいも」は、食糧事情が良くない時、例えば 江戸時代の各地で起こった大飢饉の時、あるいは近いところでは戦後の物のない社会での 食料源という印象が強い。 「さつまいも」はいろいろの調理によって豊富な、また多彩な食物として利用されている。 なかでも筆者の印象深い「さつまいも料理品」は、「芋飴」になる。 いろいろな「さつまいも料理」が一覧できるなかで、ここでは、「芋飴」を取りあげたが、 嘗ての貧しい食糧事情の時の、<すばらしい別世界のおやつ>「いも飴」に関心がいく。
1.主食の代替品としてのさつまいも 約400年前に日本に伝来して以来、「救荒作物」と して重要視され、「さつまいも伝来歌」に詠み込まれた井戸正明や青木昆陽によって全国に 普及している。特に18世紀には、日本では飢饉が頻発し、藩政時代の施政者達は飢饉に 対する危機感から、さつまいもを活用している。そのため、毎年獲れるさつまいもの蓄え方、 食べ方はいろいろに工夫され、多岐に発達した歴史がある。 主な食べ方は「蒸かしいも」「いも飯」「いも粥」などであろう。 2.副食としてのさつまいも 「天ぷら」料理品、「煮込み材料」扱い、あるいはきんとんなどと して食せられる。「甘露煮」などは、主食並みであろう。 鹿児島県の「サツマイモ手作り料理品」には、「イモ焼きそば」(パリパリそば)あるいは 「イモ豆腐」(からいも豆腐)などというものも工夫され、一回のコンテストに200品以上が 出品されるという。 3.お菓子の類 「イモ飴」「イモ餡」「イモ羊羹」「「イモかりんとう(いもけんぴ)」 「イモ納豆」「蒸し切干イモ」などに加えて、近年では「スイートポテトチップ」 「スイートポテトマッシュ」などが作り出されている。 (参考)沖縄特産紅いも「べにいもたると」商品包装例 4.二次加工品としてのさつまいも 「でんぷん」(天保十五年・1834、千葉県蘇我町で創業) 「イモ焼酎」(1700年代薩摩国で普及)、あるいは「酒精(アルコール)」などが挙げられる。 5.さつまいもの蔓 葉菜や家畜飼料になり、観葉植物あるいは薬用に供せられ、利用範囲の広い、手ごろな食用植物。
「からいも水飴」は、煮たあるいは蒸したさつまいもに麦芽を加えて糖化し、その糖化液を直火釜で 煮詰める。「からいも飴」は、これを更に煮詰め、場合によってはゴマを加え、冷却後に飴引きし、 成形したもの。 1.鹿児島県の「ふるさと認証食品」(平成21年10月)としての「からいも飴」の銘柄 製造業者名 商品(容量グラム) 住 所 坂本芋飴本舗 150、190 指宿市西方宮ケ浜4672−5 桜井製菓有限会社 120 南さつま市金峰池辺268 有限会社山下製菓 120,300 薩摩郡さつま町宮之城屋地1599−1 冨士屋製菓有限会社 120,230 曽於郡大崎町仮宿1098−2 なお、これらの商品は、鹿児島市内にある「さつまいも館」(鹿児島市東千石町)にて販売。 試食サンプルとしては 薩摩冨士屋あめ本舗「いも飴」(80グラム)を提供。 2.鹿児島県以外の「からいも飴」商品例 天草飴本舗 「天草の味 いも飴」 熊本・天草地区 信州菓子本舗外松 「紫いも飴」 長野県飯田市地区
古くは落語の「芋俵」(別名「芋どろ」)、芥川龍之介の小説「芋粥」、さらには、現代の米国人歌手 シモーン・ホワイトさんの歌曲「YAKIIMO]などに負けない文芸作品を、と心がけて、 「さつまいも」折り込みの「<さつまいも>伝来歌」と「震災時事折句<さつまいも>」を試食しました。
外国から種子島まで | ||||||
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第一句 | 第二句 | 第三句 | 第四句 | 第五句 | 伝来史実 | 関係祭祀 |
さつまいも | 陳振竜が | ルソンより | 唐土へ伝えて | カライモとなる | 16世紀ルソンより サツマイモ苗持ち帰り 官吏巡撫金学曽が奨励 | 金學曽の祠建立 |
唐土より | さつまいも知る | 宮古島 | 手柄は真氏 | 砂川旨屋(しんや) | 1597年中国より サツマイモ蔓を持ち帰る | 平良市西仲宗根 「イモ神社」 |
琉球へ | 五穀の助け | さつまいも | 伝えし人は | 野国総菅 | 1605年中国より イモ鉢植え持ち帰る | 野国総菅 顕彰碑建立 |
沖縄の | 産業興す | 儀間真常 | さつまいも手に | 糖業築く | 16世紀末中国より 製糖技術導入 | 那覇市に大型琉球式 亀甲墓の建立 |
種子島 | 鉄砲の後 | 150年 | 救国の食 | さつまいも来る | 1697年種子島久基 琉球国王よりサツマイモ一籠 贈らる。 | 種子島西之表市 「日本甘藷栽培初地之碑」建立 |
沖縄から江戸まで | ||||||
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第一句 | 第二句 | 第三句 | 第四句 | 第五句 | 伝来史実 | 関係祭祀 |
さつまいも | 本土上陸 | 長崎へ | 水先案内 | 三浦按針 | 1615年那覇より サツマイモを買い付け 英商館長に寄贈 | 横須賀市内 京浜急行<安針塚駅>に 名が残る 映画「SHOGUN」 |
平戸にて | さつまいも畑 | 開けしは | 英商館長 | R・コックス | 元和年間 平戸千里が浜に栽培 | コックスイモ畑は 長崎県指定史跡 |
宝永年 | 薩摩に根付く | さつまいも | 尽力せしは | 前田利右衛門 | 1705年琉球より サツマイモ持ち帰る | 鹿児島県山川町 「徳光神社」 |
享保年 | 井戸正明は | お代官 | 種さつまいも | 石見に培う | 1733年薩摩国から 種イモ移入 | 島根県大田市 「井戸神社」 |
江戸の地へ | 青木昆陽 | イモつるを | 引きてその名も | さつまいも(甘藷)先生 | 1734年薩摩から 江戸小石川甘藷試作場に 取り寄せる。 | 千葉市幕張町 「青木昆陽甘藷試作地碑 「昆陽神社」 |
大震災時事折句<さつまいも> | ||||
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さいがいは | つねづね注意 | まをおかず | いつも備えよ | もれのなきよう |
つなみ寄せ | まったなしの身 | いちもくさん | ものもちだせず | さけるすべなし |
また余震 | いつまで続く | もうたくさん | さしもの我慢 | ついにぷっつん |
いいかげん | もたもたせずに | さってくれ | つなみの悪魔 | まだいすわるか |
もうれつな | さしもの天魔 | つひえしか | まだ望み持ち | いのちつながん |